鉄砲図が彫られている刀装具は後藤家三代の乗真と極められることが多い。「鉄砲の伝来」に着目すれば乗真でもおかしくはないが、「鉄砲の普及」と考えると、四代光乗、五代徳乗が製作したと考える方が自然ではないかと問題提起している。自分が使う刀装具の図柄は、やはりある程度身近になったものを身につけるのではなかろうか。
鉄砲は伝来してからすぐに普及したとされていたが、西国から順次、鉄砲は普及していったことを丁寧に論証した『鉄砲伝来』(宇田川武久著)に立脚して上記論を進めている。
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