●江戸法城寺派と肥後守吉次と常陸国

江戸法城寺派に属する常陸出身の肥後守吉次の名字である「根本」姓を調べ、姓に地名が関係することが多いことから、茨城における「根本」がつく地名との関係から出身地を推論している。特に吉次が水戸藩有縁、石岡鍛冶吉貞有縁とそれぞれの仮説を立て、それぞれの論拠と弱点を洗い出して、後者の可能性を示唆している。

また肥後守吉次の師と言われている法城寺国正と法城寺貞国との同人説を唱えている。

追記に和泉守兼重における辻村正次の2本目の切断銘の刀を紹介している。前掲した「刀鍛冶、鉄砲鍛冶、試刀家の辻村氏と和泉守兼重」で展開した説を補強する資料である。

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