●長曽祢一族越前移住の時期

長曽祢鍛冶が近江の国から越前に移住した時期については諸説がある。著者は、根拠のある史料を見つけ、それから井伊家が彦根築城の時に多くの住民を強制移転させた時に故地を離れて越前に移住したことを唱えている。長曽祢鍛冶が移住した越前は、ちょうどその時に城下町建設をしている。受け入れ側のニーズとも一致することも明確にしている。

また特に越前藩は軍事の充実に力を入れていたことを様々な角度から実証し、越前新刀隆盛の背景を明らかにして、その越前藩の取りつぶしがこれら刀工の江戸への流出を生んだと推測している。

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